サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

狂喜乱舞する対象は何だいナ

偏執狂的にダリ先生の著書を
読み漁っているが
ダリ先生の子供の頃のエピソードが
面白く深く考えさせられた。
ダリは子供の頃、
10ペセタを5ペセタと交換するという
「遊び」をしていたらしい。
友達が10ペセタを持ってくれば
自分の5ペセタと
交換してあげるという「遊び」である。
友達は「コイツは気が狂ってるぞ!」と
狂喜乱舞し狂ったかのように
お金を交換しようとしたらしい。
論理的に考えれば単純に5ペセタ損をし
赤字垂れ流しを繰り返しているわけだが
ダリはそんなことはどうでも良く
その交換を行うことで狂喜乱舞する友を
見るのがたまらなかったらしい。
つまりその狂気染みた行為に対して
狂喜乱舞する人間に
興味が湧いたということである。
大きいお金と少ないお金を交換すれば
損をすることくらい誰でも分かる。
その論理を無視する人間の狂気性に
反応し興奮状態になる人間の心理状態に
とてつもない何かを感じたのであろう。
どちらが知的で深淵なるものに
敏感になっているかは
言うても言うまでもない。
貨幣は手段であり概念でもあるが
人間が創造したものである。
貨幣概念は芸術に内包されるのだ。
そういった意味で経営芸術、芸術経営は
掴みようがないようでも概念的に
確実に存在しているのである。
人は何に狂喜乱舞するのか。
それに対して狂喜乱舞するダリは
やはり只者ではないようだ。