サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

権力と魔力

権力は魔力である。
そういった話ではない。
権力は組織など集合体から
発生する強制力である。
したがって何かを成功させたい場合には
権力を利用することが
必要になることもあるだろう。
権力を勝ち取った人間が
その魔力に取りつかれ破滅を招くことは
往々にしてある。
権力は利用されるものであり必要だが
それ以上のものではない。
私が言う「魔力」とは個が放つ力のことだ。
集合体に依存することのない力である。
個で魔力を放つ人間は究極的には
権力を必要としない。
先日70年代に起こった初期パンクの
ドキュメントを追った英語版の超大型古書を
古書街で発見し読んでいた。
大好物なので興奮しながら読んでいると
超初期のパンクつまりプロトパンクを
紹介しているページがあった。
それを読んでいるとダリが1ページに渡って
紹介されていたのだった。
彼は芸術家、画家である。
バンドマンではない。
しかしパンクに影響を与えた人物として
ピックアップされていたのだ。
ダリ先生ここまで現れるんですか!と
ニヤけてしまった。
一方、知人が最新のビジネス書を
読んでいたら急にダリが出てきたと
興奮して私に教えてくれた。
物事を考えるには色々な視点を
持ちなさいというようなアドバイス
書いてある本で、
なぜか最後の持つべき視点として
「ダリの視点」をもちなさいと書いてあったのだ。
しかもダリの視点の説明はなかった笑。
読者は急に何!?と思っただろう。
巷で言われるカラーバス効果なんてものを
超えてしまっているレベルである。
愛読書であるアイデアバイブルにも
一つの発想方法としてダリテクニックが
クレジットされている。
どこにでも現れるダリ。
脱帽である。
魔力を持つ人間はどこにでも現れる。
魔力を持つ人間は権力を利用するだけ。
魔力を持つ人間は存在するだけで
人々を鼓舞し狂わせ狂喜させるのだ。