サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

偏執狂的批判的詫び寂び

偏執狂的批判的詫び寂び。
パラノイアッククリティックワビサビ。
それは日本人しか到達できない領域である。
滅びていくものの美しさを
妄想的に批判的に。
我々の多神教的素地は西洋とは異なる
偏執狂性を産み出す。
時には批判さえも排除される。
排除ではなくその意味が内包され相殺され
形をとどめなくなることもあるだろう。
西洋に勝る東洋などという
くだらない観念はいらない。
アプローチが異なるという事実だけで
そこから何かを論じる必要性などない。
我々は流されてはいけないのだ。
いや流されてしまうことこそ勝利なのだ。
偏執狂的批判的詫び寂びの世界で
生きる喜びと滅ぶ喜びが
完全にイコールとなるだろう。
一歩も揺らがない日本人としての誇りが
世界を切り開くと同時にその誇りは
燃え尽き灰になることで逆に世界から
賞賛を浴びることになるだろう。
何かに固執することなく、
諸行無常さえも固執であると言い切る
その世界で私は知っている顔を浮かべる。
見たこともないあなたの顔も浮かべる。
私はついに詫び寂びが滅ぶ石の茶室で
記憶から消し去ることができない
日々の視界のこびりつきに感謝をする。
無量大数無量大数乗の神々に
ただ感謝をするのである。