サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

レタスを噛み砕く

レタスを噛み砕く多幸感に
ヤられそうになりながら
ドレッシングと絡み合う
レタスを歯でジャキジャキと
切断し粉砕し飲み込む。
キャベツには再現できない
レタスの多幸感を思いながら
その差異の分析を放棄して
シャキシャキと音を立てるレタスに
何度も絶頂しながら
涎にこねくり回されるレタスは
最後に強い酸が待ち受ける
ホールに最終的に放り込まれることを
考えてまたもう一度絶頂する。
お前は主役だよ。
脇役のように扱わないで。
肉に喰らいつき飲み込む時の
体の痙攣を思い出すと
私には官能性が強すぎて
目眩がしてしまうから
レタスの絶頂性をイメージしながら
アカペラでテイクオンミーを歌うよ。
遥か彼方に存在するであろう
マリの音楽でも聴きながら
その低音を脳内で10倍にして
下半身に地響きを与える。
下半身と上半身のどちらでもない
体の部位にレタスが流れ込んでいく。
骨を粉々にして溢れてきた髄液を
顔にかけながら飲み込んでいくのは
私には官能性が強すぎるから
まさに中国と呼ばれそうなその
弦楽器の音色に100倍のリバーブ
かけて目を閉じて
霞かかった美しい川を思い浮かべて
その匂いで一旦澄んだ心を取り戻すんだ。