サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

高価格帯の伝統工芸品の行方

伝統工芸品は比較的全体的に
高価格帯のものが多いが
中でも素材の価格がそもそも高かったり
製作日数が非常にかかるものは
工賃がそれだけ加算されていくので
ものすごい値段になってしまうことがある。
そういう伝統工芸品の現物を見ると
やはりクオリティが尋常ではないので
言葉を失う程、心を打たれることもある。
しかしその伝統工芸品があまり有名でなく
つまり知られていない場合は買い手がいなく
職人さんや作家さんが
もはや趣味として作っているケースがある。
昔は買い手があったが今は全く売れないので
徒弟制度も崩壊して後継者もいないことも多い。
後継者がいないということはその伝統や技術は
そこで最悪失われることになる。
需要と供給の関係で栄枯盛衰は世の理なので
仕方ないのかもしれないが残念でもある。
物そのものにはやはり魅力があるので
インターネットを利用して販促したり
行政の支援を使ってPRしたりすれば
買い手は多少は現れるようだが
それでも厳しい業界が多いのが実情だ。
日本人の購買力も物欲も減少している中で
良いものをつくれば売れる時代は終わった。
大量製品の安価で味気ない商品を買い
それで事足りているのも事実だ。
さらに「経営を立て直す」と
「伝統を継承させる」ことは
背反することも多いだろう。
ポンっと解決案が出てくるような
レベルの問題でなく
なかなか難しい問題だが何とかそれらを
両立させることを諦めないことが重要だ。
そこを今後も考えていきたい。