サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

デザイナー様監修の伝統工芸

私は仕事でもう4年くらい全国の伝統工芸や
もの作りメーカーを取材し回っているのだが
一つ思うことがある。
売れなくなった伝統工芸品を復活させるためか
間口を広げるためかは色々な理由があると
考えられるがデザイナーがプロデュースした
新しいデザインの伝統工芸品が全国で散見される。
それらの商品には明らかに共通点が
あるように感じている。
どんな共通点かというと全体的に
かなりスッキリしたデザインになっており
どちらかというとミニマリズムを感じさせる
ものが圧倒的に多い。
長所だけあるいは特徴だけを抽出して
色々な要素を削ぎ落として作ったイメージと
言えば良いだろうか。
私はそれを見て「またそれかよ」と思ってしまう。
正直お腹一杯なのである。
全国に散見されるそれらの商品を並べると
ほとんど同じようなイメージを感じるだろう。
これは…!とそれを見て全身が痺れるような感覚に
落ちたことは今まで一回もない。
そのような衝撃を与えるのはやはり
オリジナルの伝統工芸品である。
伝統工芸品の再生に関して
他のプロデュースのやり方があるのではと
ひしひしと感じるこの頃である。