サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

ゴリラとして認識されたカニス・タケオ

何という光栄なことなのだろう。
栄えあるOPAPA DEコンテストの
最優秀賞をいただいたのだ。
私は授賞式にこれから出席する。
ミッツ・マングトンという超一流オテルで
式は開催されるのだ。
超一流オテルに超一流の俗物が現れるのだ。
見渡せばメディアなどで見たことが
ある人ばかりである。
私のことを見ても誰?としか
思わないだろう。
いや見えてさえいないかもしれない。
しかし私は最優秀賞でこの後登壇するのだ。
その時、ここにいる人間は私のことを
初めて認識するだろう。
今までなぜ知らなかったのだと
思うようになるだろう。
さあそろそろ私の出番だ。
数十年間、頑張ってきたかいがあった。
一つの区切りである。
「それではいよいよOPAPA DEコンテスト
最優秀賞受賞者の発表です」
司会者も興奮気味である。
「最優秀賞受賞者カニス・タケオ様!」
ん?????
私はエビスタケシだぞ。
エビであってカニではない。
タケシであってタケオではない。
もしかして順番を間違えたか!?!?
壇上の大きなモニターには受賞者の写真が映る。
写真を見て確認しよう。
ん?????
モニターの写真がゴリラになっている!
ザッツオパチュニ!!!
私はカニス・タケオでありゴリラなのだ。
カニス・タケオとしてスピーチをしよう。
ヤヒートップにはゴリラの写真が
高らかに掲載され世間から私は
「ゴリラのカニス・タケオ」として
今後は認識されるのだ。
何という快感なのだ。
何という官能なのだ。
人々の視覚がゴリラのカニス・タケオで
刺激される感覚が私の身体にも
伝わってきて痙攣が止まらなくなりそうだ。
カニス・タケオ!
カニス・タケオ!!
カニカニカニス!!!
ウホウホウホウホス!!!
オパゴリラ!オパゴリラ!オパゴリラ!
ザッツオパチュニッ!!!