サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

キレた男(3)

事件発生の後、ただちに捜査本部が設置され、
総力を結集して犯人捜しが行われた。
そして事件発生から1週間後ついに
犯人はKと特定された。
刑事達はKのアパートへ向かった。
Kはいつも通りの生活を送っていた。
警察が来るのも時間の問題だと思っていた。
ゴンゴンゴン。
「警察だ。ちょっといいか。」
Kはドアを開けた。
「お前が連続殺人犯のKで間違いないな?
署まで同行願いたい。」
Kは平然とした態度でそれに応じた。
「まったく。」
ため息をつき一言こう言った。
「人の命を何だと思ってんだよ。」
刑事達はKの一言を聞いて一瞬固まった。
Kはパトカーに乗り署まで連行されていった。
飼っていた猫は事件を起こす直前に、
猫を何匹も飼っている猫好きの知人に
ひきとってもらっていた。
猫の体を思って色々な栄養がとれるように
用意されたキャットフードが
空になったアパートには
何種類も取り残されていた。
(完)
MY NAME IS PARDON?
(15 Super Short Novels)