サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

フェルミ推定を超現実化する「超現実的推定」

懐かしき言葉を耳にした。
フェルミ推定」という言葉である。
物理学者フェルミ氏が得意とした推定である。
「あなたの街にはピアノの調律師が
何人いるか?」そのような問いに対して
仮説を立てて論理的に概算数値を導いていく。
他の条件は与えられない。
超有名企業の就職面接ではこういった質問が
聞かれることもあるという。
最近、フェルミ推定と思考力には
相関があまりないという結論に至った
企業もありそんな質問はもうしませんと
公表した企業もあるそうだ。
たった一行の質問だけでスラスラと
ロジックを自論を展開できるなんて
素晴らしいでないか。
私はフェルミ推定を否定しない。
ド緊張の中、人生を左右する面接が始まった。
トントン、ドアを開ける。
フェルミ推定的な質問が早速飛び出してきた。
何も思いつかなかったとする。
その時は無言で放屁してその部屋を去ろう。
残された芳しきメタンガスを嗅いだ面接官は
覚醒しその質問が愚問だったことに気づき
自分の人生を再考察することになるだろう。
さらにもう一度ドアをノックし
再び部屋に入室してやろうではないか。
ドアノブをひねり前進するとドアはドロドロに
溶けてスーツもドロドロになってしまった。
ドアはチョコレートだったのだ!
面接官は自分の人生を振り返り
過ちに気付き放熱していた。
涙でグシャグシャになっている面接官を
抱きしめてチョコまみれにしてあげよう。
そこから希望に満ちた人生が始まるのだ。
これを「超現実的推定」と言う。
フェルミ推定は私によって超現実化された。
がんじがらめの論理は解放されたのだ。
これでフェルミ氏も安堵できるだろう。
めでたしめでたし。