サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

ミニマリズムとわびさび

ミニマリズム」とは日本語で最小限主義で
建築、美術、音楽などの分野で必要な要素を
最小限に減らして表現される手法や形式を指す。
ミニマリズムな表現は研ぎ澄まされたものが
多いので結構好きだったりするが、
ある時ふと思ったことがある。
「日本人はミニマリズムに傾倒する
必要がないのでは」ということだ。
わびさびを語れる程、わびさびを
熟知しているわけではないが、
日本の美意識の一つである「わびさび」は
ミニマリズム」を包含しているように思える。
「わび」が不足しているもの、
完成されていないものに美を感じることならば、
イコールではないがそれは限りなく、
ミニマルに近い状態であると言える。
加えて「さび」は時間の経過による
劣化そのものに美を感じることなので、
ミニマリズムに時間軸が追加されている形になる。
ゆえに「わびさび」は無限の奥行きがある概念だ。
部屋にパソコン1台しかないような
必要最低限の物しか持たず生活する人を
ミニマリスト」と呼ぶらしい。
鬱陶しくなくスッキリ暮らせるとは思うが、
個人的にはちょっと寂しいかなと思う。
日本には元々わびさびという高度な美意識が
存在しているのだから、単純にスッキリした
生活を送るだけでなく、滅んでいく美も
感じながら暮らせると生活がさらに豊かに
味わい深くなるのではと感じる。
我々自身も滅んでいくわけだから。
そのように考えるようになったのは
歳を取っただけとも言えるかもしれない笑。