サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

梅干し飲みたい僕は今すぐ君と

髪は伸び過ぎた。
朝闇と凍てつく空気は
私を感傷的にさせる。
また私は空港へ向かわねばならないのだ。
ココロが引き裂かれそうになり
仙台藩草野マサムネ公の秀逸な詞
「梅干し食べたい僕は今すぐ君に会いたい」
が脳裏をよぎった。
しかしダダイストでもある私は立て続けに
こう言わねばならない。
「ぽんしゅが飲みたい僕は
今すぐ君とヤりたい」と。
そしてさらに林修先生が
マツケンサンバのノリで登場し
「いつヤるの?今でしょ!」と
悪ノリをし始めるのだ。
私はそう言う宿命を負っているのだ。
いつだってそうだった。
前髪とココロは深い関係性がある。
前髪がチラつく度に私のココロが
切り刻まれる音が聞こえる。
思い返せば冬特有のことである。
認識する存在が認識するゆえに
苦悩していることを認識した存在である
私は10代の頃の恋煩いをそのまま
形にしたようなガラスのオブジェに向けて
ダーツを突き刺す。
粉々に割れたオブジェを見て
見慣れた感覚を覚える私は
やはり年を取ったということだ。
マツケンサンバを踊る草野マサムネ公の
イメージの暴走を横目に
マッシュルームモンキーダディである
私はこの冬を乗り切ろうとしている。