サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

11トンの大便

ヒトは生涯で11トンもの大便をすると言う。
アイドルと放屁芸術論に切り込んだ
私にとっては何の衝撃もそこにはないが
11トンの大便に囲まれたアイドルが
立ちすくむ姿が見えてくる。
大便に囲まれたアイドルから遠ざかる
ドローン的風景が浮かんでくる。
そこに突如として巨人の手が現れ
巨大なレモンを搾る。
点にしか見えなくなったアイドルと
それを囲む11トンの大便にレモンがかかる。
大便レモンは食には適さないが
それを放っておくならば
航空機サイズのハエがその周りを
飛ぶようになるだろう。
ブーンというけたたましい音は
空襲を想起させるがハエに衝突した
爆撃機は木端微塵になり
多くの犠牲者を出さなくて済むように
なったことは不幸中の幸いである。
虚構にまみれてしまったアイドルという
ヒト科の生物は多分に文化的であるが
大便レモンの海につかることで分裂し
何人ものアイドルが
そこに浮かんでしまうことになる。
一体ヒトは生涯で何回生まれ変わるのだ!?
大便と言う矛盾のない偽りを創造しつつ
血と涙という液体を官能的に感じながら
私はついに肛門哲学の答えに
辿り着きそうになる時、後一口で意識を
失うかもしれないリスクを抱えながら
最後のレモンサワーを飲み干すのである。