サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

凶悪ツインベース

デトロイトの怪人、Mick Collinsが率いる
The Dirtbombsは珍しいバンド編成である。
Mick Collnsがギター、ボーカルなのは
なんら問題ないのであるが
残りの4人の楽器構成が衝撃だ。
ベースが2人、ドラムが2人なのだ。
ツインベース、ツインドラムなのだ。
ミックはこう言っている。
「ツインベース、ツインドラムの
バンドって聞いたことないからやってみた」と。
流石である。
理由は「聞いたことないから」
それだけで実行に移すことができる
ミックはタダモノではない。
前回書いたようにライブを一度観たが
音圧が尋常ではなかった。
あまりの衝撃に私も当時やっていた
バンドをツインベースにしたくなり
スリーピースバンドからベースを入れて
ツインベースバンドをやってみた。
わずかの活動期間ではあったが
10曲入りのアルバムも作ることができた。
一方のベースはベースアンプに
もう一方のベースはギターアンプ
シールドをブチ込むのである。
マーシャルアンプは涙していただろう。
「うぎゃー!なになに?どした?
何が起きてるんです!?!?」と
マーシャル君は悲鳴を上げていたに違いない。
ライブでリハーサルをしていると
ハウりまくりで尋常ではないノイズと
強烈な音圧で楽屋にいた対バンの人達が
何事だ?と全員ステージの方へ来ていた。
凶悪な音像であり魅力的ではあるが
やってみてわかったのは
ギターアンプサイドのベースの扱いが
なかなか難しいことである。
音域でギターとベースとぶつかり
かなりのストレスだったと思う。
しかしその意味で創造的ではあった。
無茶苦茶な条件や制約は
革命を起こす可能性を秘めている。