サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

暴動ロールケーキ

暴動が起きていると。
直視できない暗闇の中で
どう安全を確保するかを
得た知識を血眼になって
活かそうとするが何も考えられず
今までは何だったのかと。
考える暇もなく
逃げるが勝ちとは言ったもんだ。
いたるところが燃えている。
ああ一体どうしてしまったのか。
介入を許してしまったあの時が
やはり起点だったんだと。
そうは言ってももう手遅れ。
国を捨てることなんてできないが
この場にいることもできないのだ。
移動手段のキャパシティが
あれよあれよと埋まっていき
取り残された人々は
混乱の渦に巻き込まれる。
麦酒片手に笑いあったあの時に
もう戻れないのか。
そんなことはない。
月日が過ぎれば収斂するのが
またサダメでもある。
諸行無常という羽をつけて
辺りを飛んでみるといい。
人間を変えようとなんて
思ってはいけない。
ロールケーキのように
ぐるぐる巻きにして
真ん中はやっぱりドーナツの方が
人間らしくていいじゃないか。