サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

不便利さという心地良さ

トーキョー診断士協会マスターコースの
国際化の講義に参加した。
国際化と言えども色々なテーマがある。
輸出、海外に拠点を設ける海外展開、
そして日本に来訪する外国人に向けた
ビジネスも国際化の範疇である。
国際化と言えども日本に訪れる外国人の
75%は中国、台湾、香港、韓国からの
来訪者である。
例えば飲食店が英語表記のメニューを
用意するよりも実際は英語より
中国語があった方が助かる人が
多いかもしれないのである。
私も業務で展示会のパネルを準備する時に
英語、中国語を併記して用意する時もある。
本当は韓国語も必要なのかもしれない。
講義の肝は全方位に対応せず
的を絞れということだった。
特に経営資源の限られる中小企業は
そのようにした方が得策である。
そしてもう一つ興味深いなと思ったことは
いくら中国人の観光客が
増えてきたからと言って
例えばお店の対応をする店員を
中国人の方にお任せすると
逆に顧客の満足度が下がることもあると
言うことである。
言葉はスムーズに通じないが
それでも一生懸命に対応してくれる日本人の
おもてなしを期待されていることもある。
「なんだよ自分の国で買い物しているのと
同じじゃん」と思われたら
スペシャル感もないし異国情緒もない。
異国に行ったのにゴリゴリの日本語で
対応されたら確かにん~となりそうである。
不便利さの心地良さというものもあるのだ。
つまり超現実的接客も
存在していいことになる。
お金をいただいたらまずコインを飲み込む。
そしてタコみたいな口にしてコインを唇に
密着させ口笛みたいに息を吹く。
そうすると越天楽のようなサウンド
鳴り響き顧客は散財に快楽を覚える。
そしてお札は渡されたら
歓喜の声を上げてその場を駆けずり回ろう。
自由経済万歳!と言って
払うぜ血税!と高らかに同時に宣言する。
その体験は顧客の頭にこびりつき
悪夢のようにループするがそれがしだいに
心地良さに変わるから不思議である。