サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

パンクとニューウェイヴ、ダダイズムとシュルレアリスム

パンクとニューウェイヴは
ダダイズムシュルレアリスムの関係に似ている。
パンクはこれまでのロックを破壊するものだった。
しかめっ面でピロピロとギターソロを
ダラダラ弾く音楽を真っ向から否定した。
ラモーンズが典型的である。
例外はあるとして基本的に
彼らの音楽にはギターソロが無かった。
30分で14、5曲を演奏した。
ダダイズムは既存の芸術を真っ向から否定した。
どちらも既存への反抗だったので
ムーブメントとしては短命だった。
パンクによって一度解体されたロックは
カテゴライズ不可能になるほど多様化した。
それらの音楽はニューウェイヴと呼ばれた。
明らかにただのテクニカルな向上ではない
音楽の革新がそこにあった。
トーキンヘッズはアフリカンビートを
取り入れた傑作を産み出した。
ジーザスアンドメリーチェインは轟音を
すさまじく反響させ狂気と美とポップを融合した。
ダダイズムから派生したシュルレアリスム
破壊を目的とした活動ではなく
人間の創造性を解き放った芸術運動である。
パンク・イズ・アティチュードと言った
ジョー・ストラマー率いるクラッシュは
衝動的血流逆流パンクからレゲエ、ファンク、
ダブ、カリプソ、ゴスペルなどを取り込み
実に多彩な音楽的広がりを見せた。
ダダイストでありシュルレアリストでもある
アーティストのようだった。
破壊から創造へ。
音楽も同じプロセスを通ったということだ。
自分がなぜダダイズム
シュルレアリスムに惹かれたのかが、
パンクとニューウェイヴの関係を
考えることで明らかになった。
全ては流転している。