サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

自動記述17

ドドメ色のオレンジの部屋に迷い込んだ。
フードを被っている黒人が横目で俺をみる。
ファルセットで会話しようかと思ったが、
喉の痛みで諦めた。
詰まったリズムがループして
死語を使ったラップが部屋中に鳴り響く。
水色のタオルで汗をぬぐい
アルコール度数の高い酒の香りを嗅ぎながら
室温計を睨んで割れるかどうかを試してみる。
気だるいヒップホップの中からうっすら
エモーショナルハードコアが聴こえてきて
瞬間的に絶叫してみる。
フードの黒人が心臓発作で即死した。
救急車を呼んだら馬車がやってきて
僧侶の格好をした医師がその死を断言する。
そのままお経を呼んでいると
エモーショナルハードコアがヒップホップに
逆戻りお経がラップになりリズムに溶け出した。
涙を流しながら香り高き酒を飲み
意識が朦朧としてきた。
時計回りに世界が周りだしそこは1960年。
ロックンロールが暴れ出すその瞬間を
見届けるまで帰らないことに決める。
頭の奥ではお経ラップがまだ鳴っている。