サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

平凡で刺す

平凡で刺す。
現実はそんなにドラマチックではない。
ただ淡々と日々の営みが行われる。
起承転結もない。
そんなところを切り取って
感動を与えることはやはり難しいのだろうか。
何かを伝えるためにストーリーをつくる。
脚色する。
強調したいところにフォーカスする。
しかしそれは現実とは異なる。
例えばテレビ番組の多くは異常なくらいに
「つくられている」。
限られた時間でスポンサーの期待に応えるために
それは仕方ないことだ。
しかしそれに慣れるのは、
濃い味のジャンクフードに舌が慣れるのと同じだ。
むき出しの現実が見たい。
むき出しの現実に感動する
感覚を持っておきたい。
何のオチもない、残酷にも突然終わるストーリー。
現実はそれでいい。