サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

自動記述7 ​

紅葉の色が目まぐるしく変わる山の上を見れば
空も青空と夕焼けの空と目まぐるしく変わる。
その異様なスピードに感情がついていけなくなり
茫然とその景色を見渡している。
聞いたことがある音と聞いたことがない音が
交互に鳴り響いて鼓膜を揺らす。
波の音と雨の音も混ざり合い、
しまいには何かのノイズのように聴こえてくる。
冷たい風とぬるい風が入れかわり立ちかわり
体を打ちつけて寒気を感じるやら心地よいやら。
全てを感じるまま言葉にもならない何かを
口から発している。
一瞬で静けさが舞い降りてきて
誰かの体温のような空気に包まれた。
ストーリーは思い込みで
ストーリーがないというストーリーに涙して、
夢が本当は現実で、現実が夢であったと
ささやかれて否定もしないし肯定もしない。