サルバドール・ヱビ

超現実珍談集

2018年版小規模企業白書事例研究3 ​

小規模事業者の成功事例を知る。
今回は旅館「新和歌ロッジ」を約 50 年
運営している大瀬株式会社(和歌山県和歌山市)。
https://www.shinwakalodge.com
「支援機関のサポートのもと IT を活用し、
付加価値を向上した企業」として紹介されている。
和歌浦(わかのうら)は、景勝地として
にぎわっていたが、近年は観光客が減少し、
同社は赤字状態が続いていた。
ついには、これまで板場を切り盛りしてきた
従業員まで解雇せざるを得ない状況になり、
2 代目社長が自ら包丁を握り、
どうにか営業を継続させていた。
そのような状況を打破したく、
和歌山県よろず支援拠点の開設記念セミナーに参加。
同よろず支援拠点のサポートのもとでの、
経営改善の取組が始まった。
資金調達力の問題もあり大規模な設備投資をせずに
売上を伸ばすことを目指した。
まずは自社の強みと弱みを分析。
弱みは、IT 化が進んでいなくWEB 予約が少ないこと。
強みは、クエ料理等の地元の新鮮な食材を使った
料理を安価で提供していることと分析した。
クエは超高級魚として認知され、
ちゃんこ鍋の具材としても使われているらしい。
宿泊業支援の専門家から、
予約システム・サポート会社の紹介を受け、
効果的な集客や管理が可能なシステムを導入。
10以上の予約サイトに登録し、HPも大幅に刷新した。
自慢のクエ料理をメインとしたプランや、
和歌浦での釣り体験をセットにしたプランなど、
魅力的なプランを充実させWEB上でPRした。
これらの取組により、WEB予約は、導入前の
約6倍に増加した月もあるほど集客力が高まった。
同よろず支援拠点の支援を受け始めてから
2年間で売上は約2倍に増加し黒字化した。
売上増加の65%がWEB経由の予約とのこと。
ITをうまく使えば2年で売上を倍にすることも
可能であることがわかる。
「息子も加わり、これからは将来を見据え、
和歌浦地域の活性化につながる取組にも挑戦したい」
と社長は語っている。
息子さんも戻って来たようだ。
なんだか胸がじーんとなってしまう事例であった。
白書には顔写真や旅館の料理なども掲載されている。
和歌山にいつか行く時はこの旅館に宿泊してみたい。